関数を入力済みでも、エラーが表示されるのはなぜその疑問解決
Excelのエラーは、原因さえ分かればすぐに解決できます。焦らずに対処できるよう、「よくあるエラーの原因と解決策」と「原因を特定するための便利な機能」を整理しました。
1. よくあるエラーコード一覧(原因と即効対策)
まずは、表示されているエラーコードがどれに当てはまるか確認してください。
| エラー表示 | 主な原因 | 対処法 |
| #N/A |
データが見つからない
(VLOOKUPなどで検索値がない) |
・検索値と参照範囲のデータ型(数値/文字列)が一致しているか確認する。
・余計なスペースが入っていないか確認する。 |
| #VALUE! |
値の指定ミス
(数式に文字が含まれている等) |
・計算対象のセルに「文字」や「空白に見えるスペース」が入っていないか確認する。 |
| #REF! |
参照先が無効
(参照していた行・列を削除した) |
・直前の操作であれば
・数式内の参照範囲を再指定する。 |
| #DIV/0! |
0で割っている
(分母が0または空白) |
・分母が空白や0になっていないか確認する。
・ |
| #NAME? |
関数名の入力ミス
(スペルミスや未定義の名前) |
・関数のつづりを確認する(例: VLOOKUP → VLOKUP)。
・文字列を |
| #NUM! |
数値の不正
(エクセルで扱えない大きさの数値) |
・引数の数値が適切か確認する(ルートの中がマイナスなど)。 |
| #SPILL! |
スピル範囲の妨害
(計算結果を表示する場所に値がある) |
・数式を入れたセルの下や右側に、邪魔なデータが入っていないか確認し、削除する。 |
2. エラーの原因を特定する「3つの便利機能」
数式が複雑でどこが間違っているかわからない場合、以下のツールを使うと原因を特定しやすくなります。
① 数式の検証
数式の計算をステップごとに分解して確認できます。「どこでエラーが発生したか」が一目瞭然です。
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手順: [数式] タブ > [数式の検証] をクリック > [検証] ボタンを繰り返し押す。
② 参照元のトレース
その数式が「どのセルを参照しているか」を青い矢印で視覚的に表示します。
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手順: [数式] タブ > [参照元のトレース] をクリック。
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活用: 意図しないセル(遠く離れた空欄など)を参照していないかチェックできます。
③ ダブルクリック (F2キー) でカラー確認
セルをダブルクリック(またはF2キー)すると、数式内で使われているセル範囲がカラー枠で表示されます。「ズレ」を発見するのに最も手軽な方法です。
3. エラーを見栄え良く処理するテクニック (IFERROR関数)
エラーの原因が「データがまだ入力されていないため」など、どうしても避けられない場合があります。その際は、エラー表示(#N/Aなど)を「空欄」や「ハイフン」に変えると表が綺麗になります。
基本の形: =IFERROR(本来の数式, "エラーの時に表示したい文字")
例: VLOOKUPのエラーを「データなし」と表示させる
=IFERROR(VLOOKUP(A2, D:E, 2, FALSE), “データなし”)
※ 単に空白にしたい場合は、"データなし" の部分を "" にします。
まとめ:エラーを回避する3つの鉄則
Excelのエラーは、あなたの作業を中断させますが、その原因を理解すれば対処は非常に簡単です。以下の3つの鉄則を意識して、日々の業務効率を高めましょう。
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数式を入力する前に:関数名と引数の入れ方を再確認する。
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エラーが出たら:エラーコードの種類を見て、どのセルの値またはどの部分の数式がおかしいのかを特定する。
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完璧を目指さない:IFERROR関数(またはISERRORとIFの組み合わせ)を使い、エラーが発生した場合でも**「-」や「データなし」**などの分かりやすい表示になるよう設定しておく。
これらの知識があれば、Excelのエラーに悩まされることはもうありません。
3.のように関数と関数を組み合わせて利用する方法を「ネスト(入れ子)」と言います
次回はこの「ネスト」についての解説を行います。

この記事を書いているのは、【Excel問題解決Lab.】筆者「16時間」を「5秒処理」化。 Excelユーザー歴25年の経歴を持つ筆者が解説。過去には、事務員さんの年間約192時間の工数削減を実現。削減できた時間は、より付加価値の高い分析業務に充てられるようになり、社内の生産性向上と業務省力化に貢献。
